【書評】『オタクの息子に悩んでいます』岡田斗司夫著 〜他人に寄り添い対話するための心得

『オタクの息子に悩んでいます』岡田斗司夫著を読みました。

 

オタクの息子に悩んでます 朝日新聞「悩みのるつぼ」より (幻冬舎新書)

オタクの息子に悩んでます 朝日新聞「悩みのるつぼ」より (幻冬舎新書)

 

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【オタクの息子に悩んでいます 内容】

父親が大嫌い、ツイッターで悪口を書かれた、女優と結婚したい…こうした悩みを打ち明けられた時、どんなアドバイスができるか。朝日新聞土曜別刷りbeの人気連載「悩みのるつぼ」で、誰よりも相談者の気持ちに寄り添い、「役立つ回答」を編み出し、読者や相談者本人から絶大な信頼を得る著者が、「回答」に辿り着くまでの思考経路を一挙に公開。人生相談と本気で格闘することで、問題解決のための分析力、思考力が身につく、画期的な書。

引用元:内容(「BOOK」データベースより)

 

これぞ岡田斗司夫節という一冊です。

 

「悩みのるつぼ」に投稿された悩みに対して、岡田斗司夫さんが答えます。
とりあえず、回答がめっちゃ面白いです。岡田さんレベルの回答ができればそれだけでメシ食えるんじゃないでしょうか。(笑)

 

この本の素晴らしいところは、相談事項と回答をただまとめているだけでなく「どうやって回答を導き出したか」その思考プロセスについて説明している点です。

 

11個の思考ツールを元に、回答を導き出しています。

  1. 分析
  2. 仕分け
  3. 潜行
  4. アナロジー
  5. メーター
  6. ピラミッド
  7. 四分類
  8. 三価値
  9. 思考フレームの拡大
  10. 共感と立場
  11. フォーカス

 

この思考ツール使うと、

父親が大嫌いです・・・◆相談者ー女子高生/10代

(略)私は物心ついたときから父が嫌いで、母には「お父さんみたいにならないように」と、育てられてきました。(略)父への感謝の気持ちはこれっぽっちもありません。老後の面倒をみる気はなく、のたれ死ねばいいと思います。(略)

 の回答の最後が

逃げない。さもなければ、母親を助けない。

で締めくくられます。
「父親についての相談」が「母親を助けなさい」に繋がります。

 

 

当書のタイトルになっている以下の質問に

オタクの息子に悩んでいます ◆相談者ー母親/60代

もうじき30歳になろうかという息子を持つ60代の母です。
息子は、美少女アニメキャラにはまり、美少女物のなかに埋もれて暮らしています。部屋の壁はすべてポスター、クローゼットはグッズでいっぱいで数知れません。(略)
子育てに失敗したということは自分でも重々わかっています。息子も私も幸せになれる助言を、よろしくおねがいします。

に対する答えが

問題ははっきりしています。
あなたは息子が嫌いなんです。気持ち悪いオタクなんて、我が息子でもイヤだ。 

 から始まります。(ちゃんと助言もしています。)

 

 

なぜこういう回答になったか気になる人は、新書を読んでみてください。
読み物としても面白いので、買って損はしないと思います。

 

この本には「他人に寄り添い対話するための心得」が書かれています。
岡田斗司夫さんの回答が面白いのは、質問に対して「正論」を言うのではなく、相談者の気持ちに寄り添って回答をしているからです。

相談者が質問として直接聞いていることではなく、ちょっとした言い回しから"本当に気にしていること"を読み解きます。この他人に寄り添う技術は、訓練しなければ身につきません。

「他人の話を聞くのが苦手」な人は、是非、一度読んでみてはいかがでしょうか?

 

 

おわり

 

 

オタクの息子に悩んでます 朝日新聞「悩みのるつぼ」より (幻冬舎新書)

オタクの息子に悩んでます 朝日新聞「悩みのるつぼ」より (幻冬舎新書)

 

 

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