【書評】『この世でいちばん大事な「カネ」の話』西原理恵子著 〜働くこと・お金を稼ぐこと・そして生きること
『この世でいちばん大事な「カネ」の話』西原理恵子著を読みました。
下手くそな独特な絵で有名な西原さんの作品です。西原さんのマンガも好きでなんですが、本当に絵が下手くそ独特ですが、話はとても面白いですよね。
【この世でいちばん大事な「カネ」の話 内容】
「生まれて初めて触ったお金には、魚のウロコや血がついていたのを覚えている」―お金の無い地獄を味わった子どもの頃。お金を稼げば「自由」を手に入れられることを知った駆け出し時代。やがて待ち受ける「ギャンブル」という名の地獄。「お金」という存在と闘い続けて、やがて見えてきたものとは…。「お金」と「働く事」の真実が分かる珠玉の人生論。TVドラマ化もされた感動のベストセラー、遂に文庫化。引用元:内容(「BOOK」データベースより)
この本は『カネ』そして『働くこと』について、西原さんの思いがぎゅっとつまった一冊です。
日本ではおカネについてとやかく言うことは避けられます。卑しいことだと捉えられがちです。「おカネを稼ぎたい」と言えば、金の亡者などと言われてディスられます。
経済学や会計学をはじめとするおカネに関する学問について学ぶ機会も、大学生になるまでほとんどありません。僕も大学生になりアルバイトをして、自分で学費を払い初めて「働いてお金を稼ぐこと」を学びました。
何だかんだで働ける事って幸せなんですよ。働く事で、世の中に価値を生み出し、その対価としておカネを貰います。
その金で自由にご飯を食べることもできるし、自由に欲しい物が買うこともできます。3章のタイトルにあるように「自分でカネを稼ぐという事は自由を手に入れるという事 」なのです。働く事によって社会とつながる事ができます。そして3章は以下の言葉で締めくくられます。
大事ななのは、単にカネがあるって事じゃない。働くこと。働きつづけることが、まるで自家発電みたいに、その日を明るく頑張るエンジンになってくれたのよ。P.118
働くから、働き続けるから頑張れる。
そして「貧困」っていうのは、治らない病気なんだと言い切ります。
豊かな人は貧しい人の気持ちがよくわからないし、貧しさの中で、人は自分より貧しい人をバカにするようになるP.180
貧乏人の子は、貧乏人になる。泥棒の子は、泥棒になる。こういう言葉を聞いて「なんてひどいことを言うんだろう」と思う人がいるかもしれない。でも、これは現実なのよ。お金を稼げないと、そういう負のループを断ち切れない。生まれた環境からどんなに抜け出したくても、お金を稼げないと、そこから抜け出すことができないので、親の世代と同じ境遇に追い込まれてしまう。P.214
西原さん自身の経験から、その負のループから抜け出すためにも「何か商売をはじめようよ」「一歩踏み出そうよ」「自分から動いて、何かを知った人間は、そこから何かを始めることができる」「"希望"を諦めないで」と伝えます。
日本では、勉強し、大学に進み、就職活動をすれば、職に就く事が出来ます。しかし、それは世の中のスタンダードではありません。
アジアの貧しい子どもたちは仕事どころか、自分の生き死にも選べない。人間としての最低限の権利もプライドも保証されていない生活の中で、命を消るような事をして、わずかなお金を手にする。P.210
「日本人に生まれただけで、サイコロの目で6を出したようなもの」
カイジなどの著者 福本先生の言葉です。まさにその通りですよね。
西原さんは読者に投げかけます。
働けることのしあわせ、働く場所のあるありがたさについて、考えてみた事がありますか?P.211
ごめんなさい。
この本を読んで初めて考えました。
「働けることがありがたい」この感覚をどれだけの人が持っているでしょうか。
働いておカネを稼ぐ事が貧しさから救われると言います。
やっぱり「働く事ができる」「働ける場所がある」って事は、本当の意味で、人を貧しさから救うんだと思う。P.218
最後に以下のように締めくくります。
働く事が希望になるー。人は、みな、そうあって欲しい。これはわたしの切なる願いでもある。覚えておいて。どんなときでも、働くこと、働きつづけることが「希望」になる、ってことを。ときには、休んでもいい。でも、自分から外に出て、手足を動かして、心で感じることだけは、諦めないで。これが、わたしの、たったひとつの「説法」です。人が人であることをやめないために、人は働くんだよ。働くことが、生きることなんだよ。どうか、それを忘れないで。P.235
働くことが、生きること
『カネ』のこと『働くこと』について真摯に向き合い、そして分かりやすくまとめられた一冊です。そこら辺の自己啓発の本より100倍元気がでる本です。(笑)
「働いている全ての人に読んで欲しい」そんな一冊です。
さぁ、今日も明日も一生懸命働いていて、おカネを稼ごう。
おわり
- 作者: 西原 理恵子
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2011/06/23
- メディア: 文庫
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