【書評】『読んでいないの本について堂々と語る方法』ピエール・バイヤール著 〜『読書論』について書かれた良書〜

 

僕は読書が趣味です。

僕の中の『読書論』を形成するのに大きな影響を与えた、本を紹介しようと思います。

『読んでいないの本について堂々と語る方法』ピエール・バイヤール著です。

読んでいない本について堂々と語る方法

読んでいない本について堂々と語る方法

 

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【内容】

本は読んでいなくてもコメントできる。いや、むしろ読んでいないほうがいいくらいだ……
大胆不敵なテーゼをひっさげて、フランス論壇の鬼才が放つ世界的ベストセラー。
これ一冊あれば、とっさのコメントも、レポートや小論文、「読書感想文」も、もう怖くない!

内容(「BOOK」データベースより)

【目次】

I 未読の諸段階(「読んでいない」にも色々あって…)
1.ぜんぜん読んだことのない本
2.ざっと読んだ(流し読みをした)ことがある本
3.人から聞いたことがある本
4.読んだことはあるが忘れてしまった本

II どんな状況でコメントするのか
1.大勢の人の前で
2.教師の面前で
3.作家を前にして
4.愛する人の前で

III 心がまえ
1.気後れしない
2.自分の考えを押しつける
3.本をでっち上げる
4.自分自身について語る

 

 
まずこの本のタイトルが面白いですよね。
 
「読んでない本について堂々と語る」
はたしてそんな事ができるのでしょうか?
答えは「できます」。が、そのテクニックについては僕の書評では詳しく説明しないので、気になった人は是非この本を読んだり、他人の書評を読んでみてください。
 

この本はどうやればより良く本を読むかという『読書論』について書かれた本です。
どうすればより多くの本を読めるか、より早く本を読めるか、良書に出会うかなどの『読書術』・『読書方法』ではありません。
 
この本には、本を読む上で重要な考え方が書かれています。このブログ記事はその事について紹介したいと思います。
 
 
本の位置付けを理解すべき
教養があるかどうかは、なによりもまず自分を方向づけることができるかどうかにかかっている。教養のある人間はこのことを知っているが、不幸なことに無教養な人間はこれを知らない。教養があるとは、しかじかの本を読んだことがあるということではない。そうではなくて、全体の中で自分がどの位置にいるかが分かっているということ、すなわち、諸々の本はひとつの全体の形づくっているということを知っており、その各要素を他の要素との関係で位置づけることができるということである。ここでは外部は内部より重要である。というより、本の内部とはその外部のことであり、ある本に関して重要はその隣にある本である。
大事なのは本の位置づけを理解することです。

位置づけというのは
  • どういうジャンルの本か
  • どの本から影響を受けたか
  • どの本に影響を与えたか
  • どんな時代に書かれたのか
  • どんな人物が書いたのか
などです。
これを理解すると本の関係性が分かります。
 
例えば、思想本で考えてみましょうか。
 
僕は右翼と左翼の違いや、両者の主張がイマイチ理解できていない時期がありました。
なので、同じ問題に対して書かれた「右翼」の本も読めば「左翼」の本も読みました。
「右翼」も「左翼」も「この世の中をもっと良くしたい」という思いが元になっているのに、なのに何故ここまで主張が違うのか、お互いの主張を比べました。また「右翼」「左翼」が生まれた時代背景について勉強しました。それやって、複数の本を読みお互いの主張の位置関係を整理することで、それぞれの主張がすっと頭に入ってきます。一方的な側面だけを知るのではなく、全体を包括するように本を読むのです。
 

例えば、ダーウィンの『種の起源』についても考えてみましょうか。
『種の起源』で提言され、今は多く人に知られ信じられている「進化論」は、確かにその内容自体も面白いです。しかし、それだけでなくキリスト教が広く信じられている時代に「神は人間を他の動物と差別して、特別に創造した」という「創造論」に真っ向から反論したことが凄いのです。ダーウィンの進化論があったからこそ、多くの研究がなされ、その後の生物学が発達したとも考える事ができるのです。こうやってその本が書かれた時代背景や、その後に影響を与えた書物が何かを知ると、本のことがもっと面白く読むことができます。
 
 
 
自分と照らし合わせて読む

 

本を読むときに大事なのは本の内容よりも、本を読んであなたがどう思ったか、読む前と読んだ後で考えがどう変化したかです。
 
本の内容を一語一句覚えることはできません。どんなに感動した本でも数カ月後には多くの内容を忘れてしまうものです。しかし、その本を読んで変わった自分の考えや、思想はずっと残ります。
 
本の登場人物や考えと、自分を照らしあわせてみます。本の主張と、自分の意見と戦わせてみます。そうやって本の内容を自分の血肉にすればいいのです。
 
どんないい本でも、内容を疑って読む。
どんな悪い本でも、一つでも良い点を見つけようとして読む。
そうって本の対話しながら、本を読み倒せば良いのです。
そうすれば大衆に向けて書かれた本でも、あなただけに書かれた本かのように、その本を読み倒すことができるのです。
 
 
 
★ ★ ★
 
 
世の中には『読書術』についての本は多くあります。
本屋に行けは「速読」などのキーワードが入った書物はたくさん見つかるでしょう。しかし、『読書論』について書かれた本はほとんど無いのではないでしょうか。
 
読書が好きな人や興味がある人は『読書論』について書かれた、この本を一度読んでみてはいかがでしょうか。 
 
 おわり
 

 

読んでいない本について堂々と語る方法

読んでいない本について堂々と語る方法

 

 

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